この記事でわかること


はじめに|「うちの子、高校に行けるんだろうか」と感じているあなたへ

不登校の状態が続く中、中学3年生が近づいてくると、保護者の方が頭を悩ませるのが「高校進学」のことではないでしょうか。

「このまま内申点も出席日数も足りない状態で、高校に入れるのだろうか」 「本人はまだその気になっていないのに、どう動けばいいのか」 「通信制高校って、本当に大丈夫なんだろうか」

通信制高校・サポート校で長年教員として勤め、多くの不登校経験のある生徒や保護者と関わってきました。この記事では、そうした現場での経験をもとに、不登校の中学生が高校進学を考え始めるときに知っておいてほしいことをお伝えします。


高校進学を考え始めるきっかけ

不登校の生徒が「そろそろ高校のことを考えよう」と動き始めるきっかけは、生徒によってさまざまです。現場で多く見てきたパターンをご紹介します。

① 中学校の三者面談がきっかけになるケース

中学校の担任の先生から三者面談で通信制高校・サポート校を紹介されたことがきっかけで、「そういう選択肢があるんだ」と初めて知るご家庭も多くあります。中学校の先生が情報を持っているケースでは、このタイミングで動き始めることがよくあります。

② 保護者が先に情報収集して本人に伝えるケース

保護者がまず通信制高校やサポート校について調べ、「うちの子に合いそう」と感じた学校の情報を本人に伝えるパターンです。本人が「行ってみてもいいかな」と感じたタイミングで一緒に見学に行く、という流れになることが多いです。

③ フリースクールの先輩から聞いて自ら動き出すケース

フリースクールに通っている生徒が、卒業した先輩や年上の仲間から「自分はこの学校に行ったよ」という話を聞いて、自分から調べ始めるケースもあります。同じ境遇を経験した先輩からのリアルな声は、教員や保護者の言葉より心に届くことが多いようです。


親と本人の「温度差」をどう乗り越えるか

不登校の生徒を持つご家庭でよく見られるのが、保護者は焦っているけれど本人はまだその気になっていないという温度差です。

こういった状況のとき、保護者が焦るあまり「早く学校を決めなさい」と急かしてしまうと、かえって本人が引いてしまうことがあります。

大切なのは、なるべく本人が前向きに動けるやり方で進めることです。

まず保護者が情報収集をして、本人に合いそうな学校の情報を「こんな学校があるみたいだよ」と自然に提供する。そのうえで、本人が「ちょっと気になる」と感じたタイミングを逃さずに動く——この流れが理想的です。

オープンキャンパスを活用する

特に夏以降は、多くの通信制高校・サポート校でオープンキャンパスが開催されます。

オープンキャンパスは、個別の来校見学と比べてイベント色が強く、在校生との交流や体験授業など楽しい要素が多いのが特徴です。「見学に行こう」と誘うより、「体験できるイベントがあるから行ってみない?」という言い方の方が、本人も前向きに参加しやすくなります。

オープンキャンパスをきっかけに、本人が「ここなら通えるかも」と感じ、高校選びに前向きになっていくケースを多く見てきました。


「本当に自分が通えるのか」という不安を変えるもの

学校説明会や個別相談の場では、教員から学校の説明を聞きながらも「本当に自分が通えるのだろうか」と不安そうにしている生徒をよく見ます。

そういった生徒が変わる瞬間があります。それは在校生の様子を見たり、話を聞いたりしたときです。

通信制高校・サポート校には、自分と同じような経験をしてきた生徒が多く在籍しています。「この子も不登校だったんだ」「この人も学校が辛かったんだ」という共感が、「自分も変われるかも」という希望に変わる——そういう場面を何度も目にしてきました。

学校見学やオープンキャンパスに参加する際は、在校生の話が聞ける機会があるかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。在校生の生の声は、パンフレットや教員の説明では伝わらないリアルな情報源です。


内申点・出席日数は合否に影響するの?

不登校の生徒やその保護者から最もよく聞かれる質問のひとつが、「内申点や出席日数が少ないと、高校に入れないのでは?」というものです。

結論から言うと、通信制高校・サポート校の場合、内申点や出席日数が合否に多大な影響を及ぼすことは少ないです。

もちろん学校によって異なりますが、多くの通信制高校・サポート校では「これまでどうだったか」より「これからどうしていきたいか」という想いを大切にしています。

入試では、中学時代の成績よりも、この学校に入学してどんな学校生活を送りたいのか、どんな目標を持っているのかという部分を見ている学校がほとんどです。

「中学でほとんど学校に行けなかった」「内申点がほぼない」という状態であっても、通信制高校・サポート校への進学はできます。

学校見学や個別相談の際に、「不登校で内申点・出席日数が少ない場合でも入学できますか?」と直接聞いてみることをおすすめします。誠実な学校ほど、正直に答えてくれます。


「高校に進学しない」という選択肢について

「今すぐ高校に行く」以外の選択肢についても、知っておいてほしいことがあります。

① 数年後に高校に入学する

通信制高校・サポート校では、中学卒業後すぐに入学せず、数年後に入学するケースは珍しくありません。20代・30代の在籍生徒がいる学校もあります。

周りの生徒も多少の年齢差を気にしない雰囲気があるため、「一度立ち止まってから再スタートする」という選択肢が取りやすい環境です。「今すぐは無理でも、数年後に通信制高校に入学して卒業した」という生徒を何人も見てきました。

② 高卒程度認定試験(高認)を受験する

高校に在籍せずに、独学や予備校などで勉強して高卒程度認定試験にチャレンジするという選択肢もあります。高認をクリアすることで、大学受験の資格を得ることができます。

実際に、高認を経て大学受験にチャレンジし、合格していった生徒も見てきました。

ただし、高認はあくまで「高校卒業と同等の学力があること」を証明するものであり、「高校卒業資格」とは異なります。就職の際に高卒資格が求められる場合があるため、将来の進路を考えながら選択することが大切です。


保護者へ|焦らなくていい、でも動き始めることは大切

最後に、不登校のお子さんを持つ保護者の方へ伝えたいことがあります。

「中3になってしまった。もう間に合わないかもしれない」と焦る気持ちはよくわかります。でも、通信制高校・サポート校への進学は、中学卒業後いつでも選択できる道です。

今すぐ決めなくていい。でも、情報だけは早めに集めておいてほしいと思います。

合同説明会や学校のオープンキャンパスに、まず保護者だけでも参加してみてください。「こんな選択肢があるんだ」という安心感が生まれると、お子さんへの接し方にも余裕が出てきます。

焦らずに、お子さんのペースに合わせながら、一緒に前に進んでいってほしいと思っています。

おわりに

「どこに相談すればいいかわからない」「高校進学のことも一緒に考えたい」という方は、進路の灯台のオンライン個別進路相談(無料)もご利用ください。通信制高校・サポート校の現場を知る教員経験者が、保護者の方のお話をうかがいます。

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この記事は通信制高校・サポート校に長年勤務した現役教員が、実際の担任・面談経験をもとに執筆しています。