私は長年、通信制高校・サポート校で教員をし、来校面談や担任をする中で沢山の生徒・保護者と接する機会がありました。 「この学校に入学して良かった!」と全員が思えることが理想ではありますが、現実には「もっとしっかり学校選びをしておけば・・・」と後悔をするご家庭もゼロではありません。 1度しかない高校生活。学校選びで後悔するご家庭が少しでも減るように、この記事では「通信制高校で後悔しないために保護者が確認したい7つのポイント」を教員ならではの視点で解説していきます!
ポイント1|”親の希望”と”子どもの希望”をよく話し合う
学校選びを始めると、どうしても保護者側が主導になりがちです。資料を集めて、説明会に申し込んで、費用を比べて……その熱量自体はとても大切なのですが、気がつくと「親が決めた学校にとりあえず入学した」という状態になっていることがあります。
現場でよく見るのは、次の3つのズレです。
登校日数のズレ 「週に何日か通ってほしい」と思っている保護者と、「できれば家で勉強したい」と思っているお子さん。このすれ違いは入学後に大きな摩擦を生みます。通信制高校・サポート校は登校スタイルの選択肢が非常に幅広いため、最初にここを話し合っておくことが特に重要です。
学習への向き合い方のズレ 学校によって学習へのサポートも異なります。「卒業さえできればいい」というお子さんと、「大学進学を目指してほしい」という保護者。どちらが正しいということではなく、ズレたまま入学することが問題です。後から軌道修正しようとしても、本人のモチベーションが伴わなければ難しくなります。
卒業後の進路のズレ 大学進学・専門学校・就職・しばらくゆっくりしたい……お子さん自身がどう考えているかを、まず丁寧に聞いてみてください。保護者の希望を押し付けるのではなく、「一緒に考える」姿勢が、その後の高校生活の充実度に直結します。希望とする進路があるのであれば、それを叶えるために最適な環境を探していきましょう。
学校選びは”家族の意見をそろえる作業”でもあります。見学や説明会に行く前に、ぜひ一度ゆっくり話し合う時間をつくってみてください。
ポイント2|学費の”総額”を必ず確認する
通信制高校・サポート校の学費は、学校によって大きな差があります。そして注意が必要なのは、パンフレットに載っている金額だけを見て判断してしまうことです。
現場でよく耳にする後悔のひとつが「思ったより費用がかかった」という声です。
確認しておきたい費用の内訳は以下のとおりです。
- 授業料
- サポート校の費用(サポート校の場合、通信制高校の学費とは別にかかります。)
- 入学金・施設費
- 教材費・タブレット端末など
- スクーリング費用(宿泊型の場合は交通費・宿泊費も)
- 修学旅行・課外活動費
- 進学希望の場合は受験対策費用
特に、通信制高校とサポート校を併用する場合は2校分の費用がかかります。就学支援金は通信制高校の授業料にのみ適用され、サポート校の費用には使えません。
「就学支援金を使えば安くなる」というイメージだけで判断せず、年間でいくらかかるかを学校に直接確認することを強くおすすめします。
ポイント3|”卒業率”と”サポート体制”をセットで見る
通信制高校の卒業率は、学校によって大きく異なります。これは単純に「良い学校・悪い学校」の差ではなく、在籍する生徒層やサポートの手厚さの違いによるものです。
ただし、卒業率の数字だけを見て判断するのは危険です。大切なのは「その数字の背景にある、学校の関わり方」です。
学校見学や説明会で確認してほしいのはこの点です。
- 単位取得が遅れている生徒に対して、どんなフォローをしていますか?
- 長期欠席になった生徒への連絡・支援はどうしていますか?
- 担任や支援担当との面談頻度はどのくらいですか?
「卒業率〇〇%です」という答えより、「こういう状況のとき、こうします」という具体的な対応を教えてもらえる学校の方が、実態として信頼できます。
ポイント4|”先生”の雰囲気と関わり方を見る
学校のパンフレットやホームページで確認できることには限界があります。実際に学校に足を運んだとき、ぜひ注目してほしいのが先生の雰囲気と生徒への関わり方です。
見学中にさりげなく見てほしいポイントは以下のとおりです。
- すれ違った生徒に対して、先生はどんな声をかけているか
- 先生が生徒の名前を把握して呼んでいるか
- 質問したときの答え方が丁寧か、または「マニュアル的」に感じないか
通信制高校・サポート校では、全日制以上に「先生との関係」が生徒の学校生活を左右します。登校したときの先生との関わりが生徒の安心感につながります。
「この先生なら話せそう」と感じられる先生が一人でもいる学校かどうか、お子さん自身の感覚も大切にしてください。
ポイント5|”同じ境遇の仲間”がいる環境かを確認する
通信制高校やサポート校を選ぶ理由はさまざまです。不登校を経験した、人間関係で傷ついた、自分のペースで学びたい、夢に向かって活動しながら通いたい……。
ひとつの学校に、こうした多様な背景を持つ生徒が在籍しています。
大切なのは、お子さんと似た背景・悩みを持つ仲間がいる環境かどうかを確認することです。
たとえば、「人間関係が苦手で少人数のクラスがいい」というお子さんが、賑やかで活発な雰囲気の学校に入ってしまうと、かえって居づらさを感じることがあります。
説明会では「どんな生徒が多いですか?」「クラスの雰囲気を教えてください」と率直に聞いてみましょう。在校生の声が聞ける機会(体験入学・オープンキャンパス)があれば、積極的に参加することをおすすめします。
ポイント6|”進路実績”ではなく”進路支援の中身”を聞く
学校のパンフレットに「大学進学率〇〇%」「有名大学合格者〇名」と書いてあると、つい「ここなら安心」と感じてしまいます。しかし、その数字がお子さんにとって意味のある数字かどうかは別の話です。
確認してほしいのは、”数字の背景にある”支援の中身”です。
- 進学希望の生徒に対して、どんな学習支援がありますか?
- 就職希望の生徒には、どんなサポートがありますか?
- 進路が決まっていない生徒に対して、どのように関わっていますか?
特に「まだ進路が決まっていない」「将来が見えていない」というお子さんの場合、進学実績の高い学校よりも、進路が決まっていない段階から一緒に考えてくれる学校の方が合っていることがよくあります。
進路支援は”入学後”の話ですが、入学前にしっかり確認しておくことが大切です。
ポイント7|”入学後のイメージ”を親子で描いてから決める
ここまで6つのポイントをお伝えしてきましたが、最後に一番大切なことをお伝えします。
それは、「入学後の1日・1週間をイメージしてから決める」ことです。
学校選びは「どこに入るか」だけに集中しがちですが、入学はゴールではなくスタートです。
- 週に何日、何時に登校する?
- 登校しない日は家でどう過ごす?
- 誰に質問したり相談したりする?
- 卒業までの3年間、どんな生活を送る?
この”入学後の具体的なイメージ”が親子で共有できている家庭ほど、入学後の生活が安定しやすいと感じています。
逆に言えば、「とにかく入れてみよう」「入ってから考えよう」というスタートは、後悔につながりやすい。
学校見学や説明会で得た情報をもとに、ぜひ一度「入学後の生活」を親子で話し合ってみてください。その会話そのものが、学校選びの大切な一歩になります。
まとめ
7つのポイントをあらためて整理します。
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | 親と子どもの希望をよく話し合う |
| 2 | 学費の”総額”を必ず確認する |
| 3 | 卒業率とサポート体制をセットで見る |
| 4 | 先生の雰囲気と関わり方を見る |
| 5 | 同じ境遇の仲間がいる環境かを確認する |
| 6 | 進路実績ではなく進路支援の中身を聞く |
| 7 | 入学後のイメージを親子で描いてから決める |
通信制高校・サポート校の選択肢は年々広がっています。だからこそ、「なんとなく決める」のではなく、しっかりと情報を集め、お子さんと話し合いながら選んでほしいと思います。
この記事が、学校選びの一助になれば幸いです。
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この記事は通信制高校・サポート校に長年勤務する現役教員が執筆しています。