この記事でわかること


はじめに|「学費が心配で通信制を迷っている」方へ

通信制高校やサポート校への進学を検討しているとき、多くの保護者の方が最初にぶつかる壁が「学費」の問題です。

筆者は通信制高校の教員として、これまでに350名以上の入学検討者やその保護者の方と直接お話をしてきました。その中で、最も多く耳にする言葉のひとつが「学費のことが心配で…」という声です。

「全日制より高いのでは?」「うちの家庭は支援を受けられるの?」——そんな不安を感じている方は、ぜひこの記事を最後までお読みください。

実は、2026年度から就学支援金制度が大きく拡充され、私立の通信制高校についても、所得制限なく授業料の大部分が支援される仕組みになりました。 制度をしっかり理解したうえで学校選びをすることで、経済的な不安を大幅に和らげることができます。

この記事では、現場の教員目線も交えながら、国の就学支援金制度から千葉県独自の補助まで、2026年度時点の最新情報をわかりやすくまとめています。


1|まず知っておきたい「高等学校等就学支援金」とは

制度の基本

「高等学校等就学支援金」は、国が高校生の授業料を支援するための制度です。貸与型の奨学金とは異なり、返済不要の給付型であることが大きな特徴です。

支援金は生徒個人に現金が渡るのではなく、国が学校側に直接支払う仕組みになっています。つまり、学校から請求される授業料がその分だけ安くなる、というイメージです。

2026年度からの大きな変更点

2025年10月に自民・公明・日本維新の会の3党が合意し、2026年度から制度が大幅に拡充されました。主な変更点は以下の3つです。

① 所得制限が撤廃された

これまでは、保護者の年収が910万円程度を超える世帯は対象外でした。2026年度からは所得制限がなくなり、すべての世帯が対象となります。

② 私立通信制高校への支援額が増額された

私立通信制高校への支援上限額が、年額29万7,000円から33万7,200円に引き上げられました(1単位あたり約13,660円)。

③ 広域通信制高校も対象に

複数の都道府県で生徒を募集する「広域通信制高校」についても、新たに無償化の対象として整理が進んでいます。全国規模の通信制高校を選ぶ際にも、支援が受けやすくなりました。


2|学校の種類別|支援額の目安

2026年度の支援額を、学校の種類ごとに整理します。

公立通信制高校

項目金額の目安
就学支援金(年額)約11万8,800円
実質的な授業料ほぼ0円(授業料自体が非常に安いため)
入学金・諸経費など年間3〜5万円程度

公立の通信制高校は元々の授業料が非常に低く設定されているため、就学支援金を使うと授業料はほぼ実質無料になります。ただし、学習サポートや登校日数が少ないため、自己管理が求められます。

私立通信制高校(在宅・通信コース)

項目金額の目安
就学支援金(年額上限)33万7,200円
私立通信制の平均的な授業料年間20〜35万円程度(通信コース)
実質負担0〜数万円程度になるケースも

私立通信制の多くは単位制で、1単位あたりの授業料が1万2,000円以下の学校が大半です。卒業に必要な単位数(74単位)をベースに計算すると、就学支援金によって授業料がほぼ実質無償になるケースも少なくありません。

私立通信制高校(週5日通学コース・サポート校併用)

項目金額の目安
就学支援金(年額上限)33万7,200円
週5日通学コースの授業料年間50〜80万円程度
実質負担年間20〜50万円程度

週5日登校のコースや、通信制高校に加えてサポート校の費用が発生するケースでは、就学支援金でカバーできるのは授業料の一部にとどまります。ただし、後述する千葉県の補助制度を組み合わせることで、さらに負担を軽減できる場合があります。

⚠️ サポート校の費用は「就学支援金の対象外」——ここは要注意

学校選びの相談を受ける中で、この点を知らずに混乱しているご家庭が非常に多いと感じています。あらためてはっきりお伝えします。

就学支援金が適用されるのは、通信制高校の授業料のみです。サポート校の費用には適用されません。

サポート校は学校教育法上の「高校」にあたらないため、国の支援制度の対象外となっています。

サポート校と通信制高校はセットで利用することが多いため、「トータルで払う費用」を考えるとき、両方の費用を合算して確認することが大切です。資料や説明会の場で「就学支援金を使った場合の実質負担額」を具体的に教えてもらうようにしましょう。


3|千葉県独自の補助制度

国の就学支援金に加えて、千葉県にはいくつかの独自補助制度があります。

① 私立高等学校等授業料減免制度

千葉県内の私立高校に通う生徒を対象に、授業料の一部を減免する制度です。国の就学支援金と組み合わせて利用できます。

対象者: 千葉県内の私立高等学校に通う生徒(通信制課程の県外在住生徒は除く)

主な対象区分(令和7年度時点):

注意点: 令和8年度(2026年度)以降の詳細は千葉県教育庁学事課に確認することをおすすめします。国の就学支援金制度の拡充に伴い、県の制度も見直しが行われる可能性があります。

問い合わせ先: 千葉県総務部学事課私学振興班
ホームページ:https://www.pref.chiba.lg.jp/gakuji/shiritsutou/gakuhi-josei/genmen/genmen.html

② 奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)

授業料以外の教育費(教科書代・学用品費など)を支援する給付金です。こちらも返済不要です。

対象者: 千葉県内の私立高校等に在学する生徒のうち、以下のいずれかに該当する世帯

授業料への支援ではなく、教科書・教材費・修学旅行費などを想定した給付のため、学校によって使途や手続きが異なります。在学する学校を通じて申請します。

問い合わせ先: 在学する学校または千葉県学事課
ホームページ:https://www.pref.chiba.lg.jp/gakuji/shiritsutou/gakuhi-josei/josei-kyuufukin.html

③ 私立高等学校入学金軽減制度

経済的な理由で入学金の納付が困難な方を対象に、入学金の一部または全部を軽減する制度です。

対象者: 千葉県内の私立高校に入学する生徒で、保護者の所得が一定以下の世帯
対象: 年収350万円未満程度の世帯など(区分により異なる)


4|「実際いくらかかるの?」ケース別シミュレーション

制度の説明だけでは「で、うちは結局いくら払えばいいの?」と感じる方も多いと思います。ここでは、よくある3つのケースで概算をお示しします(あくまで目安であり、学校・コース・世帯状況によって異なります)。

ケースA:公立通信制高校に進学する場合

ケースB:私立通信制高校(在宅コース)に進学する場合

ケースC:私立通信制高校+サポート校を週4〜5日利用する場合

サポート校を利用するケースでは、費用が最も大きくなります。ただし、手厚いサポートが受けられることで卒業率が上がり、進路の選択肢も広がります。費用だけで判断せず、お子さんに必要なサポートの内容と照らし合わせることが大切です。


5|申請の流れと注意点

就学支援金の申請手続き

就学支援金は、自動的に支給されるわけではなく、申請が必要です。手続きを忘れると授業料の全額を納める必要が生じる場合があります。

基本的な流れ:

  1. 入学後、学校から申請書類(またはe-Shienへの案内)を受け取る
  2. 必要事項を記入・入力し、学校へ提出
  3. 認定後、国から学校へ直接支払われる(生徒への現金支給はなし)
  4. 毎年継続審査があるため、翌年度も手続きが必要

注意点:

千葉県の補助制度の申請

千葉県の授業料減免や給付金は、在学する学校を通じて申請するのが原則です。学校の事務担当者に「利用できる補助制度はありますか?」と積極的に確認することをおすすめします。


6|学校見学・相談時に確認したい「お金の質問」

制度を把握したうえで、学校見学や説明会の際には以下の点を確認しておくと安心です。

授業料・費用について

支援・減免制度について

学校側も費用に関する質問には誠実に答えてくれるはずです。「お金のことを聞いたら失礼かも」と遠慮せず、しっかり確認することが大切です。


まとめ

2026年度から、通信制高校に関する就学支援金制度は大きく変わりました。主なポイントをおさらいします。

「学費が心配だから通信制は難しいかも」と感じていた方も、制度をしっかり活用することで、想像よりはるかに低い負担で通える可能性があります。

ただし、制度の詳細は学校や世帯状況によって異なります。気になる学校の説明会や個別相談を利用し、自分の家庭の状況に合わせた正確な情報を確認するようにしましょう。


この記事の情報は2026年6月時点のものです。制度の詳細や最新情報は、文部科学省・千葉県教育庁の公式ページ、または在学・入学予定の学校にご確認ください。