この記事でわかること
- 通信制高校卒業後の就職の実態
- 企業側が持つ懸念と、それを払拭するための準備
- 就職活動を成功させるための履歴書・面接対策
- 「毎日出勤できるか不安」という悩みへの向き合い方
はじめに|「通信制高校だと就職に不利では?」という不安を持つ方へ
「通信制高校を卒業しても、ちゃんと就職できるのか」 「就職したいけど、毎日出勤できるか不安」 「本当は進学したいけど、金銭的に難しくて就職しかない」
通信制高校・サポート校で長年教員として勤め、多くの生徒の就職活動をサポートしてきた経験があります。こうした悩みは、生徒本人からも保護者からも、何度も聞いてきた言葉です。このコラムでは、「通信制高校を卒業しても、ちゃんと就職できるのか」に焦点を当てて解説していきます。
結論から言うと、通信制高校を卒業しても就職はできます。ただし、準備の質と量が結果を大きく左右します。
この記事では、現場で見てきた就職活動のリアルと、成功するための具体的な準備をお伝えします。
通信制高校卒業後の就職先の実態
通信制高校を卒業した生徒が就職する業種として多いのが、製造業・介護・一般事務です。
もちろんこれ以外の業種に就職する生徒もいますし、学校によって就職先の傾向は大きく異なります。学校選びの際に「卒業後の就職先の傾向」を聞いてみるのも、学校選びの重要な視点のひとつです。
企業側が持つ「通信制高校」への懸念
まだまだ「通信制高校」にマイナスイメージを持つ人が多いのが現実です。
特に企業側が懸念を抱きやすいのが、以下の2点です。
① 毎日出勤できるのか
不登校経験がある生徒が多いことや、登校頻度の自由度が高いという通信制高校のイメージから、「毎日きちんと出勤できるのか」という不安を企業側が持つケースがあります。
② 円滑なコミュニケーションがとれるのか
対人関係に不安を抱えて通信制高校を選んだ生徒が多いというイメージから、「職場でうまくやっていけるのか」という懸念を持たれることもあります。
これらは偏見や誤解を含む部分もありますが、企業側のこの不安を解消できるエビデンス(活動実績など)を準備しておくことが、就職活動の成否を大きく左右します。
事前の準備がいかに大切か、ここに集約されています。
就職活動を成功させるための準備
① 心構え:不採用通知を恐れない
就職活動は、難なくスムーズに進んだというケースの方が珍しいと思っておいた方がいいです。
不採用通知を受け取ることもあるかもしれません。でも、それはあなたの全てを否定されているわけではありません。「この企業と自分はミスマッチだったのだな」 くらいの気持ちで受け止め、次に進む気持ちを持ち続けることが大切です。
担任として就職活動をサポートしてきた経験から、メンタルの強さと粘り強さが、就職活動の結果に大きく影響すると感じています。
② 早めに準備を始める
早めに準備を始めた生徒は、就職活動もうまくいきやすい傾向があります。
「就活は3年生になってから」と思っていると出遅れます。在学中から企業見学に参加したり、履歴書に書けるような活動実績を積んでおいたりすることが、後になって大きな差になります。
企業合同説明会を積極的に活用することもおすすめです。 様々な業種の企業について一気に知ることが出来るので、方向性を固めていく為には最適です。早くから動き出すことで、「思っていたのと違った」というミスマッチを減らすことができます。
③ 履歴書の準備
企業側が最初に目にするのは履歴書です。紙面の中だけで、最大限あなたの魅力を伝える必要があります。
履歴書の各項目はなるべく埋めましょう。
「力を入れて取り組んできたこと」「資格・検定」「長所・短所」——こうした項目を空欄で提出してしまうのはもったいないです。一つひとつの項目を丁寧に埋められるよう、在学中から準備を進めておきましょう。
資格・検定については、在学中に取得できるものを積極的に挑戦しておくと、履歴書が充実します。資格・検定の取得は、「目標に向かってコツコツ努力が出来る人」という証明になります。希望する職種とは無縁に思うかもしれませんが、どのような資格・検定でも持っているに越したことはありません。
④ 面接(自己PR)の準備
面接で最も大切なのは、「根拠のある言葉」 です。
「頑張ります!私は大丈夫です!」と熱意だけを伝えても、面接はうまくいきません。「なぜ頑張れると言い切れるのか、なぜ大丈夫なのか」——その根拠こそが一番大切です。
たとえば、「人と接するのが得意です」と伝えるだけより、こう伝える方が説得力があります。
「私は、人と接することが得意です。高校では、子ども食堂や地域イベント運営補助など様々なボランティア活動に積極的に関わり、老若男女問わずコミュニケーションをとる機会をたくさん経験してきました。このコミュニケーション力を活かして……」
具体的なエピソードがあるだけで、言葉の重みがまったく変わります。
根拠となるエピソードは、数日でできるものではありません。 高校生活の中でコツコツと積み重ねていきましょう。ボランティア活動・学校行事・アルバイト・資格取得など、在学中のさまざまな経験が、就職活動の場で力を発揮します。
「毎日出勤できるか不安」という悩みについて
不登校経験がある生徒の中には、「就職して毎日出勤できるか自分でも不安」という声があります。
これは就職活動そのものの問題ではなく、まず自分自身の状態を整えることが大切です。
通信制高校・サポート校での生活の中で、登校日数を少しずつ増やしていく・アルバイトを経験してみるなど、「社会に出る練習」を在学中からできる環境を選ぶことが、卒業後の就職への自信につながります。
学校選びの際に「卒業後の就職支援はどのような内容ですか?」と聞いてみるのもおすすめです。
「進学したいけど金銭的に難しい」という方へ
「本当は進学させてあげたいが、金銭的な事情で就職しかない」という相談を保護者の方から受けることがあります。
ただ、進学と就職の二択だけではありません。奨学金制度・給付型奨学金・進学後のアルバイトなど、金銭的なハードルを下げる方法はいくつかあります。また、専門学校や短期大学という選択肢もあります。
私が過去に担任した生徒の中でも、給付型奨学金と貸与型奨学金を併用して大学進学をした生徒もいます。諦めてしまう前に、まずは学校の進路担当の先生に相談してみてください。
高校選びと就職活動の関係
学校によってほぼ進学希望者しかいない学校もあれば、就職者が多い学校もあります。それぞれに良さがあります。
大切なのは、「どんな経験ができるか・どんな力を培えるか」を意識して高校を選ぶことです。
就職を視野に入れているなら、在学中にエビデンスとなる活動実績を積める環境かどうかを、学校選びの基準のひとつにするといいでしょう。
まとめ
通信制高校卒業後の就職について、大切なポイントをまとめます。
- 就職はできる。ただし準備の質と量が結果を左右する
- 企業側の懸念(出勤・コミュニケーション)を払拭できるエビデンスを在学中から積む
- 早めに準備を始めるほど、就職活動はうまくいきやすい
- 履歴書の各項目を埋められるよう準備しておく
- 面接では熱意だけでなく、根拠となる具体的なエピソードを準備する
- 不採用通知を受けても「ミスマッチだった」と前向きに捉え、次に進む
- 企業見学を活用してミスマッチを減らす
就職活動は、高校在学中からの積み重ねが大きくものをいいます。「まだ先のこと」と思わず、今できることから少しずつ準備を始めてみてください。
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この記事は通信制高校・サポート校に長年勤務経験のある教員が、実際の担任・就職活動サポートの経験をもとに執筆しています。