ある朝、子どもが「学校、行きたくない」と言った。

最初は体調不良かな、と思っていたら、翌日も、その次の日も。 気がついたら、もう何週間も学校に行けていない——。

そんな状況に突然直面したとき、親としてどうすればいいのか、何から手をつければいいのか、わからなくなってしまう方はとても多いです。

私たちは、通信制高校・サポート校・フリースクールで教員として長年働いてきた夫婦です。小学生から高校生まで、さまざまな事情で学校に来られなくなった子どもたちと、そのご家族に寄り添ってきました。

この記事では、現場で見てきたことをもとに、正直な話をしたいと思います。


最初に言いたいこと——「早く解決しなきゃ」と思わなくていい

子どもが学校を休み始めると、多くの保護者の方が「早くなんとかしなければ」と焦ります。その気持ちは、当然です。心配だから。

でも、その焦りが、知らず知らずのうちに子どもを追い詰めてしまうことがあります。

現場で何度も見てきた光景があります。

フリースクールにようやく安定して通えるようになった子がいました。最初は保護者の方も「通えている!」と喜んでいた。ところが少し経つと、「次は学校に戻ってほしい」「もっと勉強させなきゃ」という気持ちが溢れてきて、無意識に子どもを急かしてしまう。

「這えば立て、立てば歩め」という言葉がありますが、子どもの回復のペースは、親が思い描くペースとはずれていることが多いです。

ゴールも、ペースも、人それぞれ。まずは安心できる場所を見つけて、次へ進む活力をチャージする時間——それが今、一番必要なことかもしれません。


やってしまいがちなこと

① 「あの子はできているのに」と比べてしまう

同じクラスの子は普通に学校に行っている。兄弟は問題ない。去年まではうちの子も行けていた——。

周りと比べると、焦りはどんどん大きくなります。でも、比べる相手は今日の子どもと、昨日の子どもだけでいいと思っています。

昨日より少し表情が明るかった。昨日よりご飯を食べた。昨日より少し長く話してくれた。

そういう小さな変化に目を向けることが、長い目で見たとき、子どもの回復を支えます。

② 「次のステップ」を急ぎすぎる

フリースクールに行けるようになったら、次は学校へ。学校に戻れたら、次は成績を上げなきゃ——。

一歩進むたびに「次」を求めてしまう気持ち、親として当然だと思います。でも子どもは、やっと安心できる場所を見つけたばかり。そこで「次は?」と言われると、また不安になってしまいます。

安心できる場所で過ごす時間そのものが、回復のプロセスです。「ここにいていいんだ」という感覚が積み重なってはじめて、次の一歩が出てきます。


じゃあ、まず何をすればいいの?

親自身が「安心できる場所」を持つ

これが、一番大事なことだと思っています。

子どもの精神状態は、親の精神状態にダイレクトに影響されます。親が追い詰められていると、言葉にしなくても、子どもは感じ取ります。逆に、親が少し落ち着いていると、子どもも安心します。

だから、親自身が話せる場所・つながれる場所を持つことが、子どものためにもなります。

同じ経験を持つ保護者のコミュニティ、信頼できる先生や支援者、気軽に話せる誰か——そういう存在を、ひとりでも作ってほしいと思います。

子どもの「安心できる場所」を、焦らず一緒に探す

学校に戻ることだけがゴールではありません。

フリースクール、適応指導教室、通信制高校、オンライン学習、家での居場所——選択肢はたくさんあります。大事なのは、「その子が安心できる場所かどうか」です。

最初から完璧な場所を見つけようとしなくていい。「ちょっと行ってみようかな」くらいの気持ちで、一緒に探せれば十分です。

情報収集は「ほどほど」に

親御さんの中には、毎晩ネットで不登校の情報を調べ続けている方がいます。情報を集めること自体は悪いことではありません。でも、情報が多くなるほど「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と焦りが増してしまうこともあります。

今の子どもの状況を見ること。それが一番の情報です。


現場から見えていたこと

正直に言います。

学校に戻れた子も、戻らなかった子も、どちらも「その後」があります。通信制高校でのびのびと学んで大学に進んだ子、フリースクールでの経験が自信になった子、しばらく休んでからアルバイトを始めた子——それぞれに、それぞれの道がありました。

「学校に戻ること」がゴールではなく、「この子が自分なりに前を向けること」がゴールだと、現場に立つたびに感じていました。

今、渦中にいる保護者の方には、そう簡単には思えないかもしれません。それでも、少しだけそのことを頭の片隅に置いておいてもらえたら、と思っています。


一人で抱え込まないでほしい

子どもが学校を休み始めたとき、「誰かに話したい」と思いながら、なかなか話せずにいる保護者の方がたくさんいます。

「こんなこと相談していいのかな」「まだ何も決まっていないのに」——そう思って、一人で検索し続けている夜があると思います。

私たちは、そういう段階からお話を聞きます。

通信制高校やフリースクールの具体的な話でなくてもいい。「今、子どもがこんな状態で」「自分もどうしていいかわからなくて」——そこから話しましょう。


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この記事は、通信制高校・サポート校・フリースクールに長年勤務した教員経験者が執筆しています。医療的なアドバイスや診断を行うものではありません。お子さんの状態が深刻な場合は、専門の医療機関や相談窓口にもご相談ください。